ブランドパートナーシップとは?(なぜ重要なのか)
ブランドパートナーシップとは、2つ以上のブランドがリソース、オーディエンス、専門知識を持ち寄り、共通の目標を達成するための戦略的コラボレーションです。今日、これらの提携はデジタルおよびリテールチャネル全体での認知とエンゲージメントを促進する重要な鍵となっています。
ローンチメトリックスでは、「パートナーボイス(Partner Voice)」を、現代のカスタマージャーニーを導く5つの主要な「ボイス(発信元)」の1つと定義しています。(他はセレブリティ、インフルエンサー、メディア、オウンドメディア)。パートナーボイスは、リテーラーやコラボレーターによって生み出されたメディア効果を測定し、ブランドの露出全体のうちどれだけが外部パートナーシップによるものかを可視化します。
新製品の認知度を高めたい時、真っ先に思いつくのはインフルエンサー施策や、Vogueのようなトップメディアへの掲載かもしれません。しかし、パートナーボイスの影響力を見落としてはいけません。
2024年上半期から2025年上半期にかけて、リテール全体のMIV®は前年比13%減少したにもかかわらず、トップ50のリテーラーは過去3年間で66%の成長を達成しています。これは、パートナーシップ主導の露出が長期的なポテンシャルを持っていることの証明です。価値重視の市場において、パートナーシップはクリエイティブな協力体制と測定可能なROI(投資対効果)の両方を提供するため、長期的にブランドの存在感を維持する最も賢明な手段の一つと言えます。
リテール×ブランド パートナーシップの主な種類(データと事例)
パートナーシップには様々な形態があります。ここでは主なタイプと、その効果を示す実例を見ていきましょう。
1. キャンペーンにおけるパートナーシップ
ブランドと親和性の高いリテーラーが組むと、キャンペーンは際立った成果を上げる傾向があります。リテーラーは豊富なリソース、広範なリーチ、高い消費者信頼度という独自の強みを持っており、ブランドの露出とインパクトを大幅に増幅させることができます。例えば、最近Walmartを抜いてMIV®で最も影響力のあるリテーラーとなり、2025年上半期に12億ドルを生み出したSephoraなどがその好例です。
- 事例:Space NK

ラグジュアリービューティリテーラーのSpace NKは、単に商品を売る場所ではありません。自称「No.1のビューティ・ドリームランド」である同社は、取り扱うブランドにとって「認知拡大を加速させる強力なエンジン」でもあります。
当社のレポートによると、ブランドはSpace NKの投稿から、自社のオウンドメディアよりも平均で25.44%高い価値(MIV®)を得ています。これは、リテーラーが今やメディアエコシステムにおける強力な「ボイス」であり、賢明なブランドが自社のインパクトを最大化するために活用すべき存在であることを示しています。
- なぜ重要か:
リテーラーは今や販売と露出の両面でパートナーとなり、認知、信頼、コンバージョンを強化します。戦略的に組み込むことで、リテールコラボレーションは測定可能なROIと長期的なエンゲージメントをもたらします。
2. 限定商品の発売(ドロップ)やラインローンチ
一般的なキャンペーンを超え、リテールパートナーとの限定商品の発売(ドロップ)やラインの立ち上げは、短期的に爆発的な注目とエンゲージメントを生み出します。リテーラーのリーチと信頼性を活用しつつ、「限定性」で話題をさらうこの手法は、短期間でMIV®を急上昇させる定石です。
- 事例:Rhode x Sephora

RhodeとSephoraの限定商品ローンチは、効果的なパートナーシップの「お手本」とも言える事例です。わずか48時間で約1,000件の投稿から1,020万ドルのMIV®を記録しました。
ヘイリー・ビーバー自身の2件のInstagram投稿が約100万ドルのMIV®を生み出し、Rhodeのオウンドメディアがトップ、Sephoraがそれに続くトップ3にランクインしました。インフルエンサーのGlamzillaやMikayla NogueiraがTikTokでバズを拡散し、ジャスティン・ビーバーのたった1つの投稿でさえ38.6万ドルのMIV®を上乗せしました。

- なぜ重要か:
適切なリテーラーと組むことで、単なる「新商品発売」が「シェアしたくなるニュース」へと変わります。これは、露出は単なる量ではなく、適切な「ボイス」の組み合わせから生まれることの証明です。
3. リテーラー同士のクロスパートナーシップ
リーチを広げ、新規顧客層を開拓するために、リテーラー同士が手を組むトレンドが生まれています。これは従来の「競合」という概念を覆し、ライバルであってもリソースを共有することで利益を得られることを示しています。リポジショニングやブランドイメージの刷新にも有効です。
- 事例:Amazon Fashion x Saks

Amazon FashionとSaksのキャンペーンは、意外な組み合わせがいかに大きな成果を生むかを証明しました。2025年初頭のこの提携により、Saksは自社投稿よりもAmazonでの言及において191%高い投稿単価(MIV®)を記録し、AmazonもSaksでの露出で260%高い効果を得ました。補完的なリテーラーが戦略的に連携すれば、リーチは増幅し、双方に飛躍的な露出効果をもたらすのです。
- なぜ重要か:
クロスパートナーシップは、コラボレーションが競争を凌駕できることを実証しています。互いの顧客基盤と信頼性を活用することで、新たな成長機会を解き放ち、共有市場でのブランド認知を強化することができます。
パートナーシップのメリット
- 飛躍的な露出拡大
2025年上半期だけで、リテールパートナーはファッション・ビューティ・スポーツウェア全体で48億ドル以上のMIV®を創出しました。コラボレーションがもたらす露出効果の大きさは明らかです。 - オーディエンスの拡張
クロスパートナーシップは、自力ではリーチできなかった新しい市場、顧客層、およびデモグラフィック層への扉を開きます。 - 信頼性の向上
権威あるパートナーと連携する「連想効果(ハロー効果)」により、消費者のブランドに対する信頼と資産価値が高まり、共有された価値観が強調されます。 - リソースの効率化
他ブランドやリテーラーと組むことで、予算、専門知識、クリエイティブ資産、技術、データなどを共有でき、キャンペーンコストを抑えながらROIを最大化できます。 - 戦略的インサイト
パフォーマンスを測定することで、どの提携が真に成果を上げているかを特定できます。Launchmetrics Insightsのようなツールを使えば、最も効果的なパートナーを見極め、将来の施策を最適化できます。 - 持続可能な成長
データに基づく協業は、一過性のバズに終わらず、長期的な関係構築と持続的なブランド価値向上につながります。
成功する戦略構築の4ステップ
効果的なブランドパートナーシップ戦略は、明確な目標設定と、オーディエンスの重なりをデータで理解することから始まります。
ここでは、パートナーを見つけ、その関係を永続的な成果に変える方法をご紹介します。
ステップ1:共有目標の定義
提携から何を得たいですか? 開始前に、成功を測るためのKPI(重要業績評価指標)を合意しましょう。「新規層へのリーチ」といった抽象的な目標ではなく、合計MIV®や投稿単価、ボイスミックスへの影響など、提携のパフォーマンスとROIを明確に示す指標を設定することが重要です。
ステップ2:適切なパートナーの特定
すべての提携が正解とは限りません。オーディエンス、価値観、ポジショニングが合致する相手こそがベストです。データツールを活用して、目標と競合するのではなく、補完し合えるパートナーを見つけましょう(AmazonとSaksの提携は、ラグジュアリー市場への参入という明確な意図がありました)
ステップ3:ボイスとチャネルのバランス
オウンド、パートナー、インフルエンサーの各ボイスを適切にブレンドし、一貫性のあるメディアミックスを作ることが重要です。Space NKの事例(インフルエンサー46%、パートナー23%)のように、最適な比率で協力し合うことで、互いの影響力を最大化できます。
ステップ4:測定、ベンチマーク、最適化
施策が始まったら、表面的なインプレッション数だけでなく、真のブランドインパクトを示すデータに注目しましょう。リテーラー別、チャネル別のパフォーマンスをベンチマークし、リアルタイムで最適化することで、将来の成功につなげることができます。
さらに注目すべき事例

Space NK x Summer Fridays
2025年上半期のデータによると、Space NKはリテーラーがいかに自社とブランドパートナー双方の認知を高められるかを示す好例です。前述の通り、ブランドはSpace NKの投稿から自社よりも平均25.44%高い価値を得ています。中でもSummer Fridays(サマーフライデイズ)は際立っており、自社投稿よりもSpace NKの投稿からなんと99%も高いMIV®を獲得しました。特に小規模ブランドにとって、リテールパートナーシップは単独では難しい露出と信頼を獲得する強力な武器となります。
重要なポイント(Key Takeaways)
データは明白です。「パートナーボイス」の活用は、2025年のブランド成長のための最も賢く、測定可能な手段の一つです。
- 成長の原動力: パートナーシップは単なるマーケティングの「おまけ」ではなく、長期的な成長エンジンです。戦略的に実施すれば、複数のボイスを通じて認知、リーチ、信頼を高めます。
- 強力なストーリーテラー: リテーラーは年間数十億ドルの露出を生み出す、価値ある「ボイス」です。2025年上半期だけで48億ドル以上のMIV®を生み出した実績が、彼らが単なる販売チャネルではないことを証明しています。
- データが差別化の鍵: MIV®、ボイスミックス、チャネルミックスを理解することで、何が機能しているかを特定し、未開拓の機会を発見し、スマートに拡大できます。
- スマートな意思決定: Launchmetrics Insightsを活用することで、戦略を評価・改善し、より強固で効果的なパートナーシップを長期的に築くことができます。
※本記事は、Launchmetrics Content Teamにより執筆されLaunchmetrics(本国)に掲載されたブログ記事の翻訳です。
